どんな分解作業時にも必ずと言っていいほど経験する作業があります。
経験その1:『外そうとした時にネジの頭を潰した』
経験その2:『外した時に落として見当たらない』
この2点です。
そもそもネジ山を潰さず、ネジを無くさなければ全く気にしなくて良いのですが、だいたい一回はハマる作業です。
この作業にハマってしまうと本来の作業に関係なく、延々と時間が過ぎていきます。
無くしたネジが見つかれば良いのですが無ければホームセンターに走る。でもネジのサイズや長さ、素材、どれか分からない!
ネジ山が潰れてしまった場合はもう最悪で、ネジが回らなければそこで作業ストップ。テンションもガタ落ち。
良い事全くありません。
しかし、それぞれの結果には原因があり、そうなった後に対処するのではなく、事前にきちんと対策する事でそんな無意味な経験と時間を浪費することがなくなります。
その対処方法を元自動車整備士がお伝えします。
今回の記事は、ノートパソコンのキーボード交換の際にパソコンを分解する必要があり、ネジは細かく注意が必要な為アップしました。
細かいネジを扱う時は是非参考にしてください。
ネジ山を潰す、ネジを見失う。その原因
それぞれの原因をみていきます。
- 『ねじサイズに合った工具が使用されていない。』
- 『力をかける方向がおかしい。』
- 『基本ネジはくっつくものだと思っている。』
- 『確実にネジが外れていないのに引き出そうとする』
こんな感じだと思います。以下詳しくお伝えします。
工具はちゃんとした工具を。ネジ山を潰さないため
以降「ネジ山を潰す」=「ネジがナメる」と表記します。
今回私が使用した工具は、『アイネックス 特殊精密工具 32点セット TL-015』です。
こちらはいろんな種類のネジが回せるセットになっており、自作パソコンやゲーム機(コントローラー)の分解に必要なものが一通り揃っています。
ホームセンターに行くと、単品で1番のドライバーは売っているものの、0番のドライバーはなかなか売っていなく、私はNintendo Switchコントーラーを分解しようと思っていたのもあり、こちらを購入しました。
購入理由は、ドライバーの長さを変えられるエクステンションもあり、握りも太く安心して作業できる点です。
今回必要とする工具は「精密ドライバー プラスの0番と1番」ですが、〜番というのはドライバーの大きさです。
数字が大きいほどドライバーも大きく(太く)なります。
「#0」、「#1」と表記されていたり、ただ単に「0」、「1」と表記されている場合もあります。
ドライバーの番手は何番を使えばいいの?
1番です。
こんな感じです。
ネジの頭の大きさと、ドライバーの大きさを正しく揃えないとネジがナメる原因になります。
なまじドライバーがネジの頭に「かかる」ので、回せるんですが、0番や1番のネジは小さいのですぐナメます。
ネジがナメると特殊工具が必要になり、ネジを外すだけなのに時間が数百倍かかります。
むしろ、メジがナメる=作業中止です。ちゃんとした工具を買う時間とお金を惜しまないようにしましょう。
ちなみに一般的に使われているネジは2番が多く、大きいネジだな。と思うものはだいたい3番です。
また、今回のドライバーセットのように、ドライバーの先を交換できるタイプのものがあります。
このドライバーの先を『ビット』と呼びます。
というわけで、今回使用するのは、『プラス1番のビット』と『プラス0番のビット』です。
ネジへの工具の当て方
垂直に当ててください。斜めに当てるとそれだけネジがナメる確率が高くなります。
CF-SX3では、垂直に当てられなさそうなネジの場所があります。
DVDドライブを開いたところにあるネジです。
こちらも無理に斜めから外さず、エクステンションを利用して垂直にネジ山にあてます。
この場所の取り付けの際のコツは、まずはビットだけを使い緩める方向に回していきます。
そうすると、一回ストンと下がる場所があります。
そこからゆっくり締めていきましょう。そうすればネジが変な風に入って行かずに綺麗に締めていく事ができます。
最後は、工具を使って締めます。
緩める際ネジへの力のかけ方
押し7:まわし3と言われています。
感覚で大丈夫です。
できれば両手で行ってください。
コツは図のように右手の腹で押さえながら、ちょっと回す方向に力を向けます。
右手の腹で押さえる部分はこの辺りがいいでしょう。
この後左手を添えればオッケーです。
CF-SX3のネジはロック剤が塗布されています。
この為、緩み始めまでは結構固いです。
ネジを回す際にネジ山から浮かないように、ドライバーをネジにしっかり突き当てて作業しましょう。
少しでも浮いたまま回そうとすると、すぐネジがナメます。
小さいネジがナメる=作業終了です。心してかかってください。
次にネジを見失わない方法についてお伝えします。
ドライバーにくっつかないネジがあります。
多くのネジは鉄製な為、ドライバー側に磁力が少しでもあればドライバーを外すと同時にネジがくっついてきます。
ただ、その磁力が機械の通信に影響を及ぼしたりするので、磁力のつかないネジが採用されている場合があります。
このネジを『非磁性体ネジ』と呼びますが、このネジの場合にはドライバーにネジがくっついてきませんから、取り外し、取り付け共に注意が必要です。
ちなみに『非磁性体ネジ』はオーディオ機器に採用されている事が多いです。パソコンも音響部品がありますから、『非磁性体ネジ』が採用されている場合も多いでしょう。
という事で、ネジはくっつかない前提で作業する事をオススメします。
取り外し、取り付けの際には、ネジを爪に引っ掛ける。
こんな感じです。
この状態で取り付けたり、外したりすればネジが落ちて見失う事はありません。
ピンセットがあれば、ピンセットを爪と同じ要領で使えばいいと思います。
ちなみに緩めて取り外す時のコツは、前述の『緩めていったら一回ストンと降りるところ』の一歩手前まで緩めます。
つまり、ストンと降りないところまで緩めます。
その後
ツメ(もしくはピンセット)をかけます。(写真は撮影の為右手の爪で引っ掛けてますが、本当は左のツメで引っ掛けてください。)
爪をかけた力の方向は、上です。横に向けるとネジが離れて見失うので気をつけてください。
外したネジの管理はマスキングテープに貼り付けます
マスキングテープなら、『非磁性体ネジ』でもくっつきますし、取り外しも容易です。
本当のオススメの工具は、PB SWISS TOOLSのドライバーです。
正直に言います。値段は高いですがネジに対しての『かかり』はこのメーカー以上のものはありません。
工具メーカーといえば、KTC、ネプロス、ANEX(AINEXではなく)色々ありますが、ドライバーはPB SWISS TOOLSを選んでおけば間違いありません。
ネジへの『かかり』からくる安心感がすごいです。
あと、グリップ(柄)も、『スイスグリップ』がオススメです。
参考までにリンクを貼っておきます。一回は使って見てください。絶対に損しません。
↓こっちが0番 工具屋でもあまり置いてないです。
PB SWISS TOOLS 8190-0-60CN スイスグリップ・プラスドライバー#0(台紙付)
↓こっちが1番 こちらは実店舗にも置いてます。
PB SWISS TOOLS 8190-1-80CN スイスグリップ・プラスドライバー#1(台紙付)
必要に応じてセットでどうぞ。(0番~3番のセットです。)
(PB SWISS TOOLS)
以上、参考にしてください。
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