#16 融資という壁|数字で語れない者は、融資を受けられない!?

この記事は、#11「事業内容説明資料」の続きです。

日本政策金融公庫との面談が終わり、次にやるべきことが見えました。

「事業計画書を作成してください」

融資を受けるには、この書類が必要とのことです。

当然です。銀行が何の根拠もなく金を貸すわけがありません。

ただ、私はまだこの時、事業計画書がどれほど具体的な数字を求められるものか、理解していませんでした。

創業計画書という書類

日本政策金融公庫のウェブサイトから、「創業計画書」の雛形をダウンロードしました。

開いてみると、そこには膨大な記入欄が並んでいました。

そして、最も重要なのがこの2つでした。

「必要な資金と調達方法」では、
創業に必要な金額を明確にし、その内訳を示す必要があります。

「事業の見通し」では、
創業当初と1年後(または軌道に乗った後)の売上高、原価、人件費、家賃、支払利息、その他経費、そして利益——つまり「結局いくら残るのか」を示さなければなりません。

そして、この全てに「根拠」が求められます。

数字で語る、ということ

数字を出す以上、その数字の根拠を示さなければなりません。

「気合でやります!」「多分いけます。」「やります!」

そんな個人的な感情は、ここでは何の意味も持ちません。

融資担当者が見ているのは、「思いつきで始めようとしているのかどうか。」という点です。

今見返すと、当時提出した数字は正直、恥ずかしい部分もあります。

でも、あの時の私は本気でした。

根拠を明確にするために、創業計画書以外にも複数の資料を作りました。

その中の一つが、#11で作成した「事業内容説明資料」です。

なぜその資料を作ったかというと、
日本政策金融公庫の担当者の方はきっと「デッドニング」という概念をご存知ない、ということは、

「デッドニング」についての理解を深めていただかないことには、話は進まない。と、思ったわけです。

専門家に頼る

とはいえ、創業計画書を1人で作ったわけではありません。

私はこういった書類を作るのは初めてでしたので、最初から専門家に相談することにしました。

特に商工会の方からは、融資を受けるための「テクニック」も教えていただきました。

ここでは詳しくはお伝えできませんが、なんでもかんでも素直に数字を乗せるのではなく「数字を作る」という感じです。

話は変わりますが、自分で全部やろうとして融資担当者に迷惑をかけたり、思いが伝わらなくて感情的になる方もいると聞いたことがあります。

でも、こういうのは初めてなのだから、最初から専門家に聞いて、それを素直に反映するのが一番無駄がなくて確実です。

また、そういう相談をすることで、本気で取り組んでいることも伝わります。

基本的に日本政策金融公庫の方は、商工会やよろず支援拠点の方ともつながっていますので、そういった方々とのやり取りの中で「この人は信用できる」と思っていただいて、商工会の方や、よろず支援拠点の方から、私がどんな人間であるかを伝えてもらった方が、融資は進みやすいと考えています。

ほかにも、お金を借りる人に対しては伝えられない本音の話も、商工会やよろず支援拠点の方に伝えることで、対策(?)も考えられるし、自分の考えていることが、他人から見ると、どのように映っているかも教えていただけます。

ですので、いろんな方に相談するのはとても大事です!

なぜ事業を始めるのか

私が最も重要視したのは、「なぜ事業を始めようと思ったのか」という部分です。

ここをとにかく真剣に考えました。

就職すれば安定した収入が得られるのに、なぜ就職せずに事業を始めようと思うのか…。

また、地域を調べたところ、この辺一帯にカーオーディオ専門店がないということは、需要がないのではないか。

それなのにカーオーディオ専門でやることに対して、経営的に大丈夫なのか。

そういったところにしっかりと明確な根拠を持って答えられなければいけないと思っていました。

だから、私は直球で書きました。

家族と一緒にいたいから、家でできる仕事として個人事業をやります。

私は家族のために仕事を辞めて秋田に来ています。

これがまた就職して毎日遠くに通って毎日遅くに帰ってくるのでは、私は何のために秋田に来たのか全く分かりません。

だから、家族と一緒にいられるために、そして生活ができるために、個人事業をすると決めました。

もちろん、それだけでは独りよがりの話になってしまうので…

その上で、地域の皆様のお役に立てる方法は何か?と考えたときに、今自分が持っている自動車整備士のスキルで、地域の皆さんのお役に立てるのではないかと考えました。

「困っている人」は本当にいるのか?

実を言うと、自動車整備士のスキルを役立てることは、全く考えていませんでした。

最初は、地域の皆さんに困り事を聞き、それを私が事業として成り立たせることができないかと言うことを考えました。

具体的には、地域には、お年を召した方がたくさんいらっしゃるので、買い物が大変だと言うお話をたくさん聞きました。

ですので、私がその買い物をまとめる事業ができないかと言うことを考えました。

自分で買いに行く?

車に乗せて送迎する?(調べたらこれは法的にダメでした。)

みんなから買いたいものを聞いて回って、ネットで買う?

そういうことを本気で何とか事業にできないか考えていました。
しかし、ふと周りを見ていると、あるではないですか。COOPが。

そうしたときに、ふと、疑問が湧いたのです。

「みんな足がなくて、買い物に行けなくて困ってるって言うけど、COOP頼んでるやん。本当に困ってる人っているの?いなくない?」

実際調べてみると、やっぱりそうでした。

つまり、私がこういうサービスをやろうとしてしているんだけど、それを始めたら助かりますか?と言うのを聞いて回ったんです。地域に。

そしたら、みんな口を揃えて、「自分は困ってないんだけど、多分誰か困ってると思う。」

と言う憶測で話をしていたことに気づかされました。

ですので、やっぱり市場調査はめちゃくちゃ大事です。人の言う事はあてになりません。いざ本気で何かを始めようと思ったときには、必ずその事業内容を説明して

「これ、需要ありますか?」
「あなたはそれをお願いしようと思いますか?」

と聞いてもあることをお勧めします。

さて、話は変わり、それがダメになったので、次はどうしようかと言う話になりました。

やはり、私ができること、情熱を注げること、24時間そのことを考えても全然飽きないものがいいんじゃないかと思ったわけです。

それは何かと思った時に、思い浮かんだのがカーオーディオでした。

もちろん周りにカーオーディオを専門的にやっているお店がないということは、需要がないのかなとも思いました。

でも、何人かに話を聞いたときに、そういう需要はあると思うという話を聞きました。

そして今度は実際に、整備の依頼をいただきました。まだ開業してもいないのに。

どうやら移住前にディーラーで取り付けてもらったドライブレコーダーの調子が悪く、鹿角市のお店に聞いても「社外品なのでよく分からないが調べてみます。」と言われてそのまま数ヶ月経っており、誰に相談したらいいか困っていたそうです。

鹿角市には移住者もいます。移住者にとって、車は絶対必要です。

移住したばかりだと、どこでメンテナンスしてもらうか、何か調子が悪くなったときに見てもらうのも、どこに頼んだらいいか分からないという不安もあるだろうと。

協力隊の先輩からも、同じ移住者で車を見れる人物がいるというのは、鹿角市にとっても安心材料になるんじゃないかという、ありがたいお言葉もいただきました。

「思いつきではない」ことを証明する

さて、話を戻します。

創業融資で大事なのは、「思いつきじゃないです。」という根拠を示すことだとお伝えしました。

その判断基準として、以下の2つが重要でした。

  1. 自己資金が、借りたい額の10分の1以上あること
  2. しっかりと自分の事業についての市場調査ができていること

実は私の場合、自己資金というのはほぼありませんでした。

しかし、地域おこし協力隊の退任と同時の起業になるため、「鹿角市地域おこし協力隊起業・事業承継支援補助金」として最大100万円の補助金がもらえます。

この制度については、着任した時に市の職員からすでにご案内いただいていました。

そのため、この100万円を原資として、約260万円の融資をお願いしたいという話をさせていただきました。

また、妻の貯金も自己資金として伝え、妻も納得してくれているということも伝えました。

市場調査という部分では、地域のディーラー全部に挨拶回りに行き、「これから新しく事業を始めます」ということを伝えて、ちゃんとお仕事の話をいただける先を見つけていることも伝えました。

では、なぜその売上を出せるのか?という根拠については、また次回お話しします。

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