業者見積もり90,000円のインナーバッフルを10,000円で作った話

「お見積もりは90,000円になります」
画面を二度見した。
いや、インナーバッフル2個だけなんですけど…?
突然ですが、無料の3DCADソフト「FreeCAD」で、車のインナーバッフルを設計してみました。
※画像はダイハツタント「L375S」のインナーバッフルです。
もちろん独学です。めっっちゃ時間かかりました。
全く未知のことを学ぼうとすると、眠くなるのは私です。
なぜそこまでしたのかと言いますと…。
それは、「欲しいものが、この世に存在しなかったから」です。
インナーバッフルって何?
インナーバッフルというのは、わかりやすく言えば、車両とスピーカーを繋げるアタッチメントのようなものです。
純正スピーカーの場合、このアタッチメントとスピーカーが一体構造になっているので、普通に音楽を聴く分にはあまり目立った存在ではありません。
某メーカー純正のスピーカー。ドアに取り付ける前提の形状となっています。
これが代表的な(?)インナーバッフル。上の図と比べると、スピーカーがなくなってる感じ。その分いろんなスピーカーがつく。
でも、社外品スピーカーを取り付けようとすると、俄然頭角を表してくるのがこいつ(インナーバッフル)です。むしろ、こいつがないと始まりません。
とはいえ、その都度専用品を作る必要はなく、多くの場合市販されています。(画像のやつがそれ。)
ちなみに既製品の材質はというと、15年前くらい?は樹脂製かMDF製かどちらかだったと思います。(なお、画像のやつは樹脂製です。)
その当時でも、プロショップはすでに様々な材質でのワンオフインナーバッフルを制作されていたと思います。こちらはMDFはもちろん樺桜合板(かばざくらごうはん)とか…。
ただ、インターネットなどでも情報が少なく、どんな材質で作っているのか、それはなぜなのかと言った情報にはなかなか辿り着けなかったような気もします。
カーオーディオ界の「革命」
そんな中、明らかにカーオーディオ業界で情報のやり取りが広まった時代が来ます。
「みんカラ」サービスの登場です。
当時、ブログを簡単に投稿できるサービスはあったものの、自動車に特化したブログサービスはなかったと記憶しています。自動車好きの人たちはこぞってこのサービスを始め、カーオーディオにおいても一気に情報が拡散されていきます。
そして、その時です。革命が起きたのは。
ある方が、ご自身が営まれている工場の設備を利用して、なんと総アルミで作られたインナーバッフル「アルミバッフル」を制作し、個人向けにも制作を行なってくれるサービスを発信されていたのです。
なぜこれが革命だったのかと言うとですね、
当時は今ほど、いち企業が個人向けにサービスを行うことは一般的ではなかったからです。問い合わせると応じてくれることはあったかも知れませんが、自らやりますよ〜と発信している企業様は少なかったのではないでしょうか。かく言う私も3セットほどお願いして、今も大切にとってあります。
大切にしているアルミバッフルの2セット。下側はアルマイト処理されたもの。
このアルミバッフルがあまりにも有名になった(市場があると思った?)からか、メーカーも黙ってはいません。
アルミダイキャストと制振ゴムの2層構造のバッフルや、さらにはアルミニウム、鉄、真鍮の3層複合バッフルまで出てくる始末…。
これは…。メーカーも本気やんけ。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
てか、メーカーのやつって実際どうなん?って疑問にお答えすると、
めちゃくちゃ品質高いです。しかも手に届く価格なので、そのバッフルに適合しているスピーカーを使用するのであれば、自信を持ってオススメできます。
が…、
そのバッフルではつけられないスピーカーも存在します。
具体的には海外製のスピーカーですね。しかもそういうスピーカーに限って、魅力的な音を出すスピーカーが多い印象を持っています。(車と似てる?)
そんな声を受けてかどうかは分かりませんが、既製品のインナーバッフルの上に、特殊なスペーサーをかませることで、本来取り付けできないスピーカーをつけられる商品もあります。
私が直面した「13cm問題」
話を戻します。
私が「FreeCAD」でインナーバッフルを制作した理由。
「3Dプリンタが普及した今、樹脂製のバッフルであれば、サイズにとらわれず、自由な設計が可能ではないか?」
そう思ったのがきっかけです。
というのも、既製品のバッフルの場合、内径はいじれないので、例えば、13cmスピーカーはつけられないわけです。
でも、タント(L375S)の純正スピーカーのサイズは13cmで、しかも取り付けのためのインナーバッフルは販売されておらず…。
実際13cmのスピーカーを取り付けようとすると、こんな感じになります。ネジで止めようにも止まらないし、隙間が…。
とはいえ、タント(L375S)の場合、インナーバッフルがなくてもドア鉄板に直接16cmスピーカーを取り付けることは可能なようです。
でも、13cmスピーカーが好きな私としては、できれば13cmの社外品スピーカーをつけたいんですよね。
しかもタントは足元にスピーカーがあるわけではなく、膝くらいの位置に取り付けられているので、より面白いことになるんじゃないかと!
プロショップの現実
プロショップでは、もちろんそのようなインナーバッフルを制作します。弊社も然り。
ただ、その場合、MDF製であることがほとんどです。
また、制作にはかな〜り時間がかかります。
なぜならば、MDFという素材は耐水性がないため水を吸います。湿気厳禁な素材です。
水を吸うと脆くなり、そのうちボロボロになります。
なので、MDFは塗装必須です。しかも重ね塗りしないといけません。だから時間がかかります!
もちろん、その時間と労力の対価はお客様にご負担いただくわけで…。
はたしてその金額と音は釣り合っているのか?
音って、オーディオって、嗜好品なので、誰にとってもいい音ってほぼ実現不可能と思っていまして。
乱暴な言い方になりますが、お金をかけたら(自分にとって)いい音になるかって言うとそうとも言い切れないかな〜と。
すでに何用で作っていたのか思い出せない未完成・未塗装MDFインナーバッフル。水吸いそうでしょ?(作りが雑すぎて泣ける。)
そして、衝撃の見積もり
で、じゃあ実際に3Dプリンタで制作代行できる、本格的な企業に頼んだらいくらになるのか見積もりをしたところ…。
1個で45,000円。2個で90,000円。
たっか。((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
ここでようやく、他の事業所さんが3Dプリンタを使われない理由が分かりました。
設計するまでもなく無理ゲーでしたな。
家庭用の3Dプリンタだともっと安いと思いますが、それなら自分で購入して作る方がいいのか?どうなんだー!?
解決策は「ココナラ」にあった
そして辿り着いた答えが、ココナラなどの個人制作代行サービスでした。
CADデータを送って作成してもらう。
価格は10分の1。1個約5,000円。
私は「クロスリンク&リサーチ合同会社」の方にお願いしました。他の人は試していないですが、私はこの方で満足しています。
ただ、一つだけ学んだことがあります。
タップの穴は作成する必要がないと思う。
そこだけ剛性が低くなるんですよね。
もちろん、色々頼んで知見を増やすこともできますが、1個5,000円くらいするので、オーダーメイドでやらなければいけないとかじゃない限り、そこまでやらなくて良いかなと。
結論:「音が出る前に加工すればいい」
個人的にスピーカーは既製品で安価な「パイオニアの」カスタムフィットスピーカーでOKという見解です。
もしくは、見た目が最高に好きなやつ。
なぜなら、音が出る前に、音を加工すればいいから。
インナーバッフルにお金をかけるより、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)で音を整える方が、よっぽど自分好みの音になります。
(デジタルで音を加工することに賛否あることは重々承知ですが…。)
90,000円の見積もりに驚愕してから、FreeCADと格闘して、ココナラに辿り着いて、ようやく理解した真実です。
必要なのは、高額なパーツじゃなくて、本質を見抜く視点だった。
穴を開けるドリル(インナーバッフル)が欲しいのではない。穴(ええ音)が欲しいのだ。
とかそんなやつですね。
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